第177章訪問

クルーズ船の通路に灯る白熱灯が、磨き上げられた床へリリーの慌ただしい影を落としていた。

彼女は人気のない廊下をほとんど駆け足で進んでいた。急いだせいで呼吸は荒く、喉の奥がひりつく。

スマホの画面に届いたオリヴィアの短いメッセージが、いまも目の前にちらつく。『部屋にいる。階段から落ちた』

リリーは無意識に歩調を速め、指先に力を込めてスマホを握りしめた。ミアがオリヴィアを追ってきて、こんなことを――そんな可能性が頭をよぎる。

「マーティン様、こちらへどうぞ」

たまたま通りかかった船内の看護師がリリーに声をかけ、右手の廊下を指さした。「スミス様のお部屋から来たところです。お連れさまはそちら...

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